現場責任者研修手引き(清掃部門)
洗剤の知識
ビルクリーニングにとって洗剤はなくてはならないものです。水と機械器具だけでは多様化した汚れは除去できません。そのため、正確な知識をもって正しく有効に使うことが大事です。
「正しく」とは事故や公害を起さず、建材を損傷しないで汚れが除去できること。「有効」とは、ムダなくムリなく汚れが落とせることです
液性による分類
- (1)中性洗剤(PH値6~8)
- 軽度、中度の一般的な汚れを落とすために広く使われ、洗浄力は強くないが建材や人体を損傷することがないので、どのような建材にも使用できる
- (2)アルカリ性洗剤(PH値8~14)
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- PH値8~11までを弱アルカリ性洗剤といい、中度、重度の汚れを落とすために使用される。PH値や希釈倍率によっては、建材や人体に影響を及ぼすので注意して使用し、使用後はすすぎをよく行なう
- PH値11~14までを強アルカリ性洗剤といい、洗浄力が強く、重度や超重度の汚れ除去に使用される。例えば厨房の脂肪分を含んだ重度の汚れ落としに使用される。洗浄力が強いので使用を限定し、作業ではすすぎを十分行なう。また使用にあたっては保護手袋を着用する
- (3)酸性洗剤(PH値3以下)
- 界面活性剤に無機酸や有機酸が加えられていて、強酸性(PH値3以下)のものが多く市販されている。衛生陶器の尿石、水垢、鉄さびや浴槽の石けんカスの除去に使用される。この洗剤は、大理石、テナゾー、木材、コルク、繊維を損傷するので使用を限定し、作業ではすすぎを十分行なう。また使用にあたっては保護手袋を着用する
- (4)溶剤入りアルカリ性洗剤
- アルカリ性洗剤に溶剤(主として有機溶剤)を配合したもので、弱アルカリ性や強アルカリ性のものがある。溶剤の溶解力により、油脂性の重度の汚れの除去に使用される。ゴム系床、塗装された壁面への使用は避ける
- (5)剥離剤
- アルカリ型(PH値13~14)と、界面活性剤にアミン系溶剤やアルコール系溶剤などを配合して造られた溶剤型(PH値10~12)があり、いずれも樹脂ワックスの皮膜の除去に使用される
アルカリ型と溶剤型では、ポリッシャーの掛け方やすすぎ、中和に多少の違いがある - (6)研磨剤入り洗剤
- 界面活性剤に研磨剤を配合したもので、金属のサビ汚れやこびりついた汚れなどの除去に使用する。建材を損傷したりするので注意して使用し、繰り返し使うことは避ける
PHの物差し
PHの物差しは0~14までにわかれています。そしてその中央7を中性として、14に近づくほどアルカリ性、0に近づくほど酸性の濃度が高くなります
PHの物差しで、PH6とPH7との液性の濃度の差は、数字の上では10倍の差があります。PH6とPH8とは100倍の差があります。従って、PH値を1だけ薄くする必要があるときは、希釈には10倍の水が必要になります
希釈の仕方
- (洗剤原液の量の算出)
- (洗剤原液の量+水の量)/希釈倍率=洗剤原液の量
- 簡便な洗浄液の作り方
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- 手洗いの水石けんを作る場合は、容器に色テープで目印をつけておき、そこまで水と洗剤原液を入れる
- 2表面洗浄で洗浄液を10リットル作る時は、バケツに目測で温湯(または水)を入れ、(15リットルのバケツであれば、2/3で10リットル)次いでうすめたい倍率の洗剤の原液を軽量カップで200cc計って入れれば、50倍の洗浄液ができる
洗剤の取り扱い基本10事項
- 第1事項
- 適正な洗剤を選定する
汚れが落とせる他に、建材を傷めず人体や環境に影響を及ぼさない - 第2事項
- 標準使用量で使用する
洗浄液を多く使えばムダで作業性を悪くし、拭き取りやすすぎに手間が掛かる。逆に少ないと汚れの落ちが悪くなる - 第3事項
- 標準使用濃度で使用する
洗剤の洗浄力はある一定の濃度までは洗浄力は上昇するが、その濃度を超えても洗浄力は変わらず平行線をたどる。(濃さを2倍にしても効き目は2倍にならない) - 第4事項
- PH値を知って使用する
洗剤には酸性・アルカリ性という液性の区分がある。また、各種建材には耐酸性・耐アルカリ性がある。洗浄作業では、残留の洗剤分のPH値がその後の作業に影響がある - 第5事項
- 洗浄液は温湯で作って使用する
一般的に温度が10。C上がれば洗浄力は2倍になるといわれている
温湯の適温は35。C~40。Cがよい - 第6事項
- 3分間塗りおきしてから洗浄を始める
洗剤の主成分である界面活性剤は5つの作用によって汚れをおとすので、洗剤がこの作用を行なう間3分間待って、洗剤の働きを十分発揮させると効果が上がる - 第7事項
- 洗浄後はすすぎを十分に行なう
酸性や強アルカリ性洗剤を使って洗浄作業を行った時は、これがそのまま残留すると建材の損傷や変色をもたらす - 第8事項
- 他の洗剤と混合させない
酸性洗剤に塩素系漂白剤やカビ取り剤を混ぜると有害な塩素系ガスが発生し、人命にかかわる。洗剤管理や混合防止の為、取り扱い責任者を決め管理の徹底を図る - 第9事項
- 洗剤原液は元の容器に戻さない
取り出した洗剤に不純物がつくなどして、元の洗剤に影響がある洗剤は、密閉状況がよければ2年位である - 第10事項
- 人体、環境への影響を考えて使用し、後始末をよく行なう
保護手袋の着用
漂白剤やカビ取り剤使用時は換気をよくする
スプレー製品は吸い込まないように注意する
洗剤が目に入ったら応急処置として直ちに目を洗う
手肌の荒れを防ぐためクリームなど塗る
必要以上の濃度を避ける
洗浄廃液を下水に流す時は十分薄めて少量ずつ流す
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- 現場責任者研修手引き(清掃部門)
- 私たちサンセイは現場責任者の社内研修にこの手引きを活用していきます。
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